技術情報

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開発者コラム

図研エルミックのエンジニアが開発にまつわるコラムを書いています。


 

2010年 news70号

2010/04/01

LSIにおけるバスアーキテクチャー

製品開発第二部 二課 T.S

私は主に、LSIの論理設計を行っています。今日は、その中でもLSIのシステム設計において重要な「バスアーキテクチャー」に関わる話をさせていただきます。

ご存知の通り、LSIは様々なアプリケーションで使われています。パソコン、携帯電話、プリンタ、デジタルカメラだけではなく、産業機器などでも幅広く使われています。そして、現在ではあらゆるアプリケーションにおいて、数ギガbps以上の高速転送があたりまえのように行われています。

例えばパソコンの製品仕様をみるとメモリはDDR3、HDDはSATA、LANは1000BASE、インタフェースはPCIe_x16、といった10年前では考えられないような転送速度を持つアイテムばかりが実装されています。

これらのアイテムをLSIの機能として実現する場合は、それぞれのコントローラの設計を行います。このコントローラのmoduleに関しては、再利用性の高いものもあり、すぐに準備できるケースもあります。(といってもそのまま使えるというものでも無いうえに、高価なものが多いです)

必要なmoduleが揃ったら、次にmodule間のデータ通信をどのように行うかを決めます。

そこで登場するのが「バスアーキテクチャー」です。

システムの内部バスにおいて、1つのバスには多数のmoduleがつながります。複数のmoduleからの転送が衝突した際にも、滞りなく効率良く転送を行うことが、バスアーキテクチャーの性能を示す指標となります。

従来は1つのレイヤのみ実装し、衝突時は優先度をつけることで、混雑回避する方法が主流でしたが、最近では研究が進み、マルチレイヤ構造、クロスバースイッチを採用することで内部での衝突は一切考慮しないバスアーキテクチャーも幅広く使われるようになりました。

それに伴い、理想的なバスアーキテクチャーに沿った内部バスの設計の難易度はますます上がっていきます。

回路構造が複雑になっていくのに対して回路規模の節約、高周波数での動作、低消費電力化といった課題は消えることは無いのです。

その一方で、悲しいことにパソコンや携帯電話等の製品仕様(LSIに関する部分)には、バスアーキテクチャーに関する情報は一切載りません。

冒頭に述べたような数ギガbps以上の高速転送を実現する為には、今後もバスアーキテクチャーの高性能化は必要不可欠であるにも関わらず、なかなか表に出ないのは、非常に残念なことです。

バスアーキテクチャーは、まさしくシステムの「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。

 
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