技術情報

技術情報

開発者コラム

図研エルミックのエンジニアが開発にまつわるコラムを書いています。


 

2012年 news83号

2012/8/8

「無線ベースバンド性能評価」

SC開発部 開発3課 T.S


車の分解に目覚めてしまった今日この頃。
エンジニアリング業務での経験が、役に立っていると感じています。
皆様は、いかがお過ごしでしょうか?


現在、私は無線モデムを開発していますが、この性能評価というのが
非常に難しく・・・

どこかで完全にエラーとなってくれれば良いのですが、全てのモジュールを
通って受信すると、BER(ビット・エラー・レート)が悪いという結果として
現れます。

一体どこのブロックが悪いのか・・?
モジュール間の各波形を見てもAD変換された波模様が延々と続いており、
人間の目ではどのブロックが波形を歪ませているのか、判断することは
非常に困難でした。

そこで、EVM(エラー・ベクトル・マスク)による波形歪みの数値化を試みました。
今回採用しているIEEE802.11b無線システムでは、QPSKを採用しており、1ビット
データを2次元座標にマッピングして、その位置(角度)によってデータ値を表現
しています。
取り得る位置としては0°/90°/180°/270°の4種類で、それにより
2ビットのデータが得られます。EVMは、この角度のズレから計算します。
まず、デコードしたI/Qの値を、出来るだけ多く2次元座標マッピングします。
すると、0°/90°/180°/270°近辺にボンヤリと点の集合体ができます。
この集合体を円で囲み、座標(0,0)から各円の中心までの距離を分母、各円の
半径を分子として百分率で表します。
この値が大よそ12%以下になることが最低ラインとなります。
また、理想的には5%くらいまで低くなると、かなり精度の良いベースバンド
ということになります。

上記の方法で、各ブロックをスルーした状態でEVMの値を求め、次にブロック1つ
をONにした場合のEVMを算出します。これを繰り返してEVMを悪くしているブロック
を特定し、特性の悪いブロックに修正を加えていきます。
結果、全体的な性能改善を行うことに成功しました。

アナログを扱う回路に関して、波形の歪みを数値化して検証を行うことは、とても
有効だと思いました。本経験が、他の設計をされる方々の参考になれば幸いです。


 

 
(c) 2012 ZUKEN ELMIC,INC. All rights reserved.

バックナンバー

↑ ページTOPへ